はじめに

日本は世界の中で、とても地震の多い国で、1923年の関東大震災から2016年熊本地震まで、
30回以上もの大きな地震が起っています。

こうした地震のゆれから建物をまもろうという考えから、免震建築が建設されて30年以上経過しました。
現時点で、ビル物で4100棟、戸建て免震住宅で4000軒ほどが建設されています。

それでは、免震建築がどんなものか、免震建築のしくみについて説明いたしましょう。

免震建築のしくみ
免震装置について
1)アイソレータ:積層ゴム/すべり支承/転がり支承
2)ダンパー:オイルダンパー/鋼材ダンパー/鉛ダンパー

免震建築のしくみ

【大地震時の建築物】比較

従来の建築物

従来の建築物(耐震構造)は、
地面の上に建物が建っています。

地震の揺れが地面から直接伝わり、
建物が大きく揺れます。


建物の倒壊はまぬがれますが建物が激しく揺れるため

  • 家具の転倒
  • 照明器具の落下
  • 設備配管の破損
  • ドア枠の変形
  • サッシの脱落
  • 建物躯体の亀裂

など生じる可能性があります。

免震建築物

免震建築物は、地面の上に免震装置があり
その上に建物がのっています。

地震時に免震装置が地震の揺れを吸収することで
建物に地震の揺れが伝わりにくくなります。

建物には、免震装置で吸収できなかった
地震の揺れが少し伝わるだけです。

建物の揺れが小さいため左のような被害をまぬがれる可能性が大きくなります。



免震装置について

「免震装置として、何が使われているのですか?」
アイソレータ と ダンパー という、あまり耳慣れない装置が使われています。

アイソレータは建物を支え、地震のときに建物をゆっくりと移動させます。
種類としては、「積層ゴム」「すべり支承(ししょう)」「転がり支承 」などがあります。
ダンパーは建物を支える役目はせず、
アイソレータだけではいつまでも続く揺れをとめることはできないので、ダンパーが抑える働きをします。
種類としては、「オイルダンパー」「鋼材ダンパー」「鉛ダンパー」 などがあります。

アイソレーター

積層ゴム(例)

積層ゴムとは、「ゴム=柔らかいもの」と「鋼板=硬いもの」が交互に重なっています。
「ゴムの柔らかさ」によって、地震時に水平方向にゆっくり揺れ、地震の揺れができるだけ建物に伝わらないようにします。
「鋼板の硬さ」によって、重い建物を安定に支えます。
しかし、積層ゴムのゆっくりとした揺れは、地震がおさまっても、元の位置に戻るのに時間がかかるため、ダンパーを併用します。

積層ゴムの例

すべり支承(例)

柱の直下に設置されたすべり材が、特別に表面処理を施した鋼板(すべり相手材)の上を滑ることで、地震の揺れができるだけ建物に伝わらないようにします。
すべり材の表面処理には、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)を主成分とした材料などが使用されています。

アイソレータ|すべり支承の例

転がり支承(例)

建物の荷重をボールベアリングで支持しており、地震時にボールベアリングがレールを転がり移動することで、地震の揺れができるだけ建物に伝わらないにします。
レールを十字型やキ型、井型に配置することで、任意の方向へ移動を可能にしています。

アイソレータ|転がり支承の例

ダンパー

ダンパーは建物を支える役目はせず、
アイソレータだけではいつまでも続く揺れをとめることはできないので、
ダンパーが抑える働きをします。

ダンパーの種類には、オイルの粘性や鋼材などの金属の延性、摩擦の抵抗を利用したものがあります。

粘性を利用した例

ダンパー|オイルバンパー

金属の延性を利用した例

ダンパー|鋼材ダンパー
ダンパー|鉛ダンパー
ダンパー|鋼材ダンパー